肩にかかる重み微笑ましく思ってしまう。
疲れてるんだなとその寝顔に思う。
「土方先生」
呼び掛けても起きる気配はなく。
外はポカポカ陽気の昼下がりの休日。
「千鶴…」
不意に名前を呼ばれて驚いた。
穏やかな寝顔のまま。
顔が熱を持つ。
いい夢見れていますか?
*
ぽろりはたりと流れ落ちる涙は止められない。
突然不安は押し寄せる。
今日みたいに一人起き出した時。
貴方の腕の中に閉じ込められた時。
何気ない日常の中でも。
「一人で泣くなと言っているだろう」
突然聞こえた声と突然強く触れる温もりに驚いた。
「どこにも行かないでください…!」
この手を離さないで
*
「千鶴、手を出せ」
そうして私の手に乗せられたのは華奢な華美な箱。
「あの…」
「一応記念日、だろう?」
そう、今日は私達がただの教師と生徒だけでなく恋人同士にもなった日。
あれからもう1年。
「ありがとうございます…!」
まさか覚えててくれただなんて。
その心遣いが擽ったい素敵な一日になった
*
「千鶴、好きだよ」
言えば洗濯物を畳む手を止め文字通り固まった。
大きな瞳を一つ瞬くと途端に耳まで赤くなった。
可愛いヤツ。
だからつい構っちまう。
今日もその小さな体を抱き寄せた。
「急にどうしたんですか…」
「想った事を言ったまでだが?千鶴が好きだってな」
「私の身が保ちません…」
「俺もだ」
*
突然不安が胸をよぎることがある。
息苦しいほどの不安に涙すら零れて。
愛した人の残り僅かな命に伴う喪失への恐怖はどうしようもならなかった。
「千鶴?」
ふと目覚めた目の前に安らかな寝顔に安堵してそれから怖くなった。
あっという間に視界が滲む。
無言のまま抱き締めてくれた優しさに身を委ねた。
*『「大丈夫だよ」と相手を抱き締めている』『土千』を描きor書きましょう。
「千鶴、ほら」
そうして私の方に腕を伸ばす先生。
それが何を意味するかわかっているけど
何だか恥ずかしくて照れくさくて行動に移せない。
「休日くらい甘えたっていいだろう」
「先生が、ですか?」
「お前も俺に甘えるんだよ」
気付けば先生の腕の中。
「今は他でもない恋人同士だ」
その笑顔が嬉しかった。
*『「おいで」と相手に向かって手を伸ばしている』『土千』
去り際に一言。
「愛してるよ、千鶴」
腕を引き寄せて耳元で聞いた先生の囁きは
とても威力の高い爆弾みたいに私の中に爆ぜ広がった。
堪らず耳を抑えた私を先生は楽しそうに笑って
「また明日な」
踵を返した。
顔が熱く心臓も逸る。
耳元で木霊して仕方ない。
心鷲掴みになされた。
もう…本当に先生は狡い人
*
純白のドレスに身を包めば溢れる
温かい何かに包まれてるようで胸がキュゥンとなる。
幸せってきっとこういうことなんだってそう思う。
「俺も一緒だ」
重なった紫の瞳が涙で潤んだようでまた泣いてしまいそうだった。
まだ結婚式は始まったばかり。
小さく笑いあってしっかり握り合う。
さぁ幸せの一日を
*
トン…と肩にかかる重み。
見れば千鶴が寝てしまったようで俺によりかかって寝息を立てていた。
そっと腰から引き寄せれば小さく身じろいだ。
「いつもすまねえな、お前に無理させちまってよ」
額に口付けをした。
「ありがとうな、千鶴」
耳を掠める寝息と感じる体温、伝わる拍動。
愛しさ募る小さな時間。
*
まだ逝かないでくださいーー…。
口をついて出るのはそんな言葉ばかり。
溢れる涙は止まらなくて。
「ずっとお前の傍にいるから安心しろ」
だから笑ってくれという貴方の優しい手はもう温もりがなく。
空を切った私の手を合図に貴方は春の空に解けていった。
澄んだ晴天が胸を締め付ける。
もう貴方は居ない…
*
「これ食べますか?」
「ああ。」
「…あの。口開けてください」
仄かに射していた色が濃くなる千鶴の白い肌。やや俯加減の千鶴。
「なぁ千鶴、あーんって言わないのか?」
「言って欲しいんですか?!」
「まあな」
「……」
「千鶴?」
「あ、あーん…」
その破壊力は抜群。
溜まらず千鶴を抱き寄せてしまった
*『あーんしている』『土千』を描きor書きましょう。
好きだよと笑う歳三さんに堪らず胸を掴まれて、また一つ歳三さんが好きになる。
毎日繰り返す生活の中でどんどん好きになる。
それが嬉しくて幸せで照れ臭くって仕方ない。
抱き寄せてくれる歳三さんの腕に縋っ強く貴方を抱き締めた。
どうか伝わりますように。
*
「先生これ…プレゼントです」
リビングで寛いでいると千鶴がおずおずと細長い箱を差し出した。
「プレゼント?」
いまいちピンと来ていない土方に
「はい、お誕生日おめでとうございます」
と綺麗な笑顔で千鶴が言う。
「すっかり忘れてたな」
千鶴をプレゼントごと抱き寄せて耳朶を食んだ。
「ありがとよ」
*『プレゼントを贈る』『土千』を描きor書きましょう。
「千鶴、好きだよ」
日常的に言われるその言葉が酷く擽ったい。
いつも沢山の愛情が込められている言葉に気恥ずかしくなって照れ臭くって。
視線を俯かせれば頤をとられて上を向かされた。
「たまにはお前の言葉で聞きてえな」
なんてずるい人。
一つ一つが確実に私の心を鷲掴みにするの。
「…好きです…」
*
「じゃあ行って来る」
言うと同時に私を引き寄せおでこに唇を落としていった。
そんな風にされると益々離れがたくなるというのに。
「そんな顔するな」
腕だけは残ったまま歳三さんは言う。
「離れがたくなるだろうが」
そっと耳に囁かれて軽くリップ音が内側にまで響いた。
「もう…いってらっしゃい」
*『おでこにキスをしている』『土千』を描きor書きましょう。(現パロ)
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