「貴方を好きになってよかったです」
「珍しくどうした?」
「どうしたっていつももっと甘えろもっと素直に言えっていうのは歳三さんじゃないですか」
「そうだったな」
時間が経つほど照れ臭くなって顔が熱くなる。
「俺もお前を好きになってよかったよ」
歳三さんの目元も少し赤い気が。
そんな幸せのひと時

*






風鈴の音の鳴る方へ見上げたその穏やかな横顔が
あまりにも綺麗で、つい、見惚れてしまった。
だから土方さんがこちらを向いたのに気付かなかった。
「どうした千鶴」
「いえ…土方さんがあまりにも綺麗で見惚れてしまいました」
「さらっと嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。惚れ直したか?」
「…はい」

*






優しい風が吹き抜ける。
「今日は涼しいですね」
「そうだな」
二人夏になって縁側で過ごすことが増えた。
風鈴の音以外は会話もなく静かな時間。
でもイヤじゃない。
寧ろ心地いい位。
きっと大事なのは二人で同じ時間を過ごすことなんだと思う。
また二人の間を優しい風が吹き風鈴を鳴らしていった、夏の風景

*






思い出しては涙がこぼれる。
もう拭ってくれる愛する人はいないのに…。
『泣いたお前も綺麗だが俺は笑った顔の方が好きだぜ』
ふと聞こえた歳三さんの声。
…そうですよね。
自分の手で涙を拭う。
そして浅葱色に似た空を見上げる。
きっとどこか近く、傍にいてくれる貴方にもう泣きませんと笑顔を向けた。

*






今夜電話する、帰り際にこっそり言われた先生からの言葉になんだか凄くドキドキする。
何時頃だろう、いつかかってくるかな。
携帯傍に置いて机に伏せる待ちきれない自分がいた。
鳴る携帯。
慌てて出れば待ち望んだ声。
「そんなに俺の声が聞きたかったか?」
「はい…」
「俺もだよ。遅くなって悪かったな」

*






「いつも千鶴の笑顔に、存在に俺は支えられてきたんだ」
なんて優しく言うからまた涙がこぼれてしまう。
「俺はお前を泣かせてばかりだな」
「すいません」
大きな力強い手が私の頬を包む。
「謝ることはねえよ。これからはいくらだって拭ってやるから」
「はい」
今度はそれが嬉しくて涙乾かないままに笑った

*






恐る恐る凭れかかるとしっかりと肩を抱かれた。
それだけでも嬉しかった。
夕涼みの縁側。
過ごしやすい夏の終わり。
ただ無言で寄り添い合うだけ。
沈黙すらも居心地よくて愛しいだなんて思わなかった。
もうすぐ終わりを告げる夏に切なさを感じながら
また一つ季節を共に過ごせた喜びと幸せを噛みしめていた

*






「だから先に休めと言ったんだ」
言葉の割に声音が優しいことに気付く。
会議が長引いて夜も遅い時間になってしまった。
部屋に戻れば長椅子で眠る千鶴。
「俺に合わせる必要ねえのに」
言いながらありがたいと思う俺がいる。
つと頬をなぞりそっと口付ける。
「いつもありがとな」
零れたのはそんな言葉だった

*






何でも自分一人で背負い込む人だから無理をしないか
心配だったあの頃が懐かしいと時々思い出す。
休めと言ってもあまり聞いてくれなかったあの頃が。
時が流れて今その人は私の膝の上で眠ってる。
穏やかな寝顔につい顔が綻んでしまう。
土方さん、ゆっくり休んでください。
走り続けたあの頃の分ゆっくりと

*






秋の虫達が小さな音を奏でる静かな夜。
十五夜お月様を歳三さんと見上げた。
肩を抱かれて寄り添って名月を見る。
横を見れば愛する人。
それが何より嬉しくて。
「綺麗だな」
「はい」
また来年も二人で見れたらいいのに。
秋の訪れ、少し切なくなる季節だからか
隣で感じる温もりがとても愛おしく感じた。

*






ただ傍にいたいだけだった。
傍にいられるなら何だってするつもりだった。
私の幸せはそこにあるんです、土方さん…!
一人涙に塗れる夜。
貴方を想っては締め付けられる胸。
また一筋涙がこぼれた。
あの日溢れる涙に滲んで見えた背中が離れない。
「土方さん…」
貴方じゃないと駄目なんです。

*






「千鶴」土方が千鶴の頬を両手で包んだ。
涙に濡れた千鶴の瞳が恐る恐る土方へと向く。
瞬間、涙が一筋零れ落ちた。
「俺は今すぐ消えるわけじゃねえんだ。今ここにこうしているだろう。
 不安になるなとは言わねえ。だが一人で抱え込むな」
今度はしっかりと抱き締めた。
「もっと甘えてくれていいんだぜ」

*『相手の頬を両手で包む』『土千』を描きor書きましょう。






千鶴が先にきていた待ち合わせ。
少し離れたところで見つけた時思わず足を止めて見惚れてしまった。
普段見慣れている制服姿と違う私服が
あまりにも似合っていて可愛かったのだ、予想以上に。
可愛いと見惚れたと言ったらどんな顔するだろうか。
逸る気持ちそのままに今度は足早に待ち合わせ場所に向かった

*『初めて見る私服姿にドキドキしてしまう』『土千』を描きor書きましょう。






「褒美だ」短い言葉と共に頬に暖かいものが触れた。
いつもより近い距離にドキドキしてそれが
土方先生の唇だったと気づいた時には顔が一気に熱くなって。
「あの…ありがとうございます…」
と消えるような声で言うのが精一杯だった。
「おう」
素っ気ない返事がどこか優しくてこの甘い雰囲気に戸惑っていた

*『頬にキス』を土千がすると萌え。『意識しあってる関係』だと更に萌えです。






「声を聞かせてください。抱きしめてください。もう一度…!」
頬を滑る綺麗な涙が千鶴から一つまた一つと落ちていく。
いつか訪れるとわかっていても唐突すぎて心が置き去りになってしまったようで。
もう貴方はいない。
それがこんなにも胸が苦しいんです。
抱き締めた土方の着物。
「土方さん…!」

*土千へのお題は『声を聞かせて・頬を滑る綺麗な涙・唐突すぎて心が置き去りになる』です