卒業して漸く堂々と二人で外を歩けるようになった。
たまにはと繋ぐ腕を組んで歩いてみる。
お店を見ているとふと組んでる腕が引っ張られた。
「どうした?」
姿勢の先には桜をモチーフにした指輪。
「買ってやるよ」
「でも」
「どうせ買うつもりだったんだ」
千鶴の目が見開かれ、それからふわりと笑った。

*『腕を組んで買い物をする』『土千』を描きor書きましょう。(SSL卒業後設定/つまりは結婚です)






ぎこちない仕種で千鶴の指が俺の腕にかかる。
表情を窺おうと見れば恥ずかしいのかすぐに目を逸らされてしまった。
遠慮がちな珍しく甘える姿。
「千鶴、手繋ぐか」
ほら、と手を差し出してやる。
「……はい」
千鶴の手が重ねると繋がる夕方の長い二人の陰。
ちょっとしたことなのに何だか凄く幸せに思えた。

*お題は『「目を逸らしつつ、腕に指を絡める」キーワードは「夕方」』(ED後夫婦となったばかりの頃をイメージ)






「歳三さん星が一杯出ていて綺麗ですよ」
掛けられた声に視線を動かせば嬉しそうに微笑む千鶴がいた。
「ほら冷えるぞ」
寝着のままの千鶴に羽織をかけてからその肩を引き寄せて縁側に並んで座った。
素直に俺に体を委ねる千鶴は真っ直ぐ星空を見ている。
「綺麗だな」
千鶴のそんな横顔も。
静かな二人の時間。

*『寄り添って星空を眺める』『土千』(ED後)






「あ、あの土方さんっ」
思うままに千鶴を抱きしめると
慣れない千鶴はその身を少し強張らせながらもおずおず俺の背に腕を回している。
覗く頬も赤い。
「抱きしめたくなったからそうしたまでだ。嫌なのか?」
「そうじゃないんです。その…」
ただ恥ずかしいのだという千鶴が可愛くて仕方ないのだ。

*土方×千鶴で『土方が千鶴を抱き締める』という、青春爆発でCERO:Aなお話






明日からはまた一人の生徒と一人の先生に戻らなくちゃいけない。
わかってはいるんだけど心のどこかではやっぱり寂しくて。
こんな風に堂々と先生の両手に自分の手が触れていられるのは今だけ。
「おいそんな顔すんな」
優しく笑う先生は額に口付けて
「手放せなくなるだろうが」
先生も少し寂しそうに見えた。

*お題は『「堂々と、両手を触れ合わせる」キーワードは「別れ」』(SSL、デートが終わって明日が月曜日)






怖い夢を見て目が覚めれば歳三さんが
「大丈夫だ」
って力一杯抱き締めてくれる。
「いつもすいません」
その度に起こしてしまっているのかと思うと申し訳なくなる。
「気にすることはねえよ。惚れた女が泣いてるのに放っておけるか」
甘えてしまってもいいですか。
体を寄せれば抱き締める腕の力が強くなった。

*『「大丈夫だよ」と相手を抱き締めている』『土千』






ふと目が覚めて視界に入ったのは俺の上に覆い被さる様に寝ている千鶴。
「千鶴、千鶴、寝るなら隣に来い」
怪我さえしてなけりゃ抱き寄せてやれるのに。
「でも…」
「そんな風に寝られて風邪でもひかれたら困る」
不慣れな様子で俺の隣に寝そべった千鶴の手を取って出来た隙間を埋めた。
「ありがとうな」

*お題は「不慣れな様子で」「隣に寝そべる」。キーワードは「怪我」






微かに触れたと思ったら力強く土方さんの手と繋がれた。
恥ずかしくて嬉しくてくすぐったいような照れくさいような。
遠慮がちに握り返したら土方さんの手がしっかりと強くなる。
「土方さんと手を繋いで歩くなんて不思議な感じです」
「俺もだ」
でもこれからは
「もう遠慮する必要ねえからな」
沢山繋げる。

*『手を繋いで歩いている』『土千』






何故か怒ったように不機嫌な千鶴。
何かしたかと聞けば
「内緒です」
となかなか理由を教えてくれない。
拗ねたように見えるその表情は俺からすると可愛いものだが。
ほのかに赤いような頬は言葉より雄弁に理由を教えてくれる。
小さな可愛い嫉妬。
腕を取れば素直に肩に凭れるように委ねる。
「千鶴だけだよ」

*お題は「怒り顔で」「肩にもたれる」。キーワードは「内緒」






恥ずかしそうに伏せられた瞳が見たくて頬を撫でるように触れた。
「千鶴」
頬を染めて微かに潤んだ瞳が見上げる。
甘えるように遠慮がちに頬に触れる俺の袖口を掴む様も相まって、
思わず襲いたくなるがそれは卒業までの我慢だ。
「先生?」
「卒業したら覚悟しろよ?」
だったらせめてと奪うようなキスをした。

*お題は「甘えるように」「頬を撫でる」。キーワードは「我慢」






舞い散るこの場所は私達にとっては大切な場所になっている。
優しく手のひらを包むように握ってくれる手は大きくて温かい。
初めてこの地の桜を見て初めて互いを桜に準えたのがとても懐かしい。
「おまえは本当桜が似合うな」
「歳三さんこそ桜に似ています」
そう笑い合えるのがとても幸せで仕方なかった。

*お題は『「優しく、手のひらを握る」キーワードは「思い出」』






「千鶴悪かったって」
「……」
「千鶴」
きっかけは些細なこと。
だけど千鶴の気に触ったのは違いねえ。
このまま千鶴に顔を合わせてもらえねえのも口を利いてもらえねえのもさすがに堪える。
「ちづ…」
もう一度謝ろうとした時千鶴が目を背けたまま俺の指に指を絡めた。
「もう二度としないでくださいね?」

*お題は「目を背けつつ」「指を絡める」。キーワードは「仲直り」






「土方君でもそんな表情するんだね」
俺の膝の上で眠る千鶴の髪を撫でているとどこか楽しげな声がした。
「何の用だ」
「せっかくのいい表情が台無しだよ」
「俺はいつもこんな表情だ」
大鳥さんにはそう言うがすやすやと眠る千鶴が愛しくして仕方ねえ。
「雪村君と一緒にいる君は幸せそうだよ」
ああそうだな

*『寝てしまった相手の髪を撫でている』『土千』






さよなら、さようなら――…その言葉はいらない
それでも逢えてよかったと誰よりも何よりも幸せで想って想われて。
鼓膜を擽る大好きな声は交わした約束を果たすまで次はお預け。
お別れの言葉は使わなかった。
再会の約束。
誰にも何にも私達を離すことはさせない。

*お題は『鼓膜を擽る大好きな声・それでも会えてよかった・さよなら、さようなら』(土方死後設定)






「今帰った」
「おかえりなさい」
わざわざ玄関で出迎えてくれた千鶴を抱き寄せた。
「えっ?!あの」
おかえりとただいまがある場所。
それが千鶴なのだと思うとどうしようもなく幸せに思えた。
「ありがとな」
千鶴が腕を背中に回した。
「歳三さんおかえりなさい」
ぎゅうっと力が篭って千鶴の想いが伝わった。

*ついったーお題ではないけど、「ただいま」と「おかえり」をテーマに書いてみた。





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