こういう日に限って車じゃねえんだと降り出した雨を睨む。
パタパタと雨の中駆け寄ってきた千鶴を見つけた。
「わざわざ来てくれたのか、ありがとな」
「いいえ」
傘を受け取ると同じく傘を差そうとする千鶴を制する。
「えと…?」
「一本で足りるだろ?」
恥ずかしそうで嬉しそうな千鶴と一緒に歩き出した。

*『相合傘をしている』『土千』






ドクンと脈打つ鼓動が苦しい。
喉が渇いて息が出来ねえ。血を飲めと猛る声がする。
「土方さん」
いない筈の千鶴の声がした。
赤みがかった視界にそこだけ輝くように千鶴がいた。
「土方さん」
なのに刹那闇に融けて消えた。
千鶴を――幻を追い掛けるように手を伸ばすが虚しく空を切った。
「千鶴………っ!」

*土方×千鶴で、『土方が千鶴を追いかける』という、シリアスでCERO:Aなお話






デートの終わりに連れて行かれたのは深夜のグラウンド。
誰もいない学校はとても不思議だった。
「千鶴、約束する」
教師と生徒である限り辛い想いをさせるだろう、だがまたこうして千鶴と学校を見れた時には
必ずその分も何倍も幸せにしてやると、
まるでそれは甘美な魔法の言葉。
先生の腕の中涙が溢れた。

*「深夜のグラウンド」で登場人物が「約束する」、「魔法」という単語を使ったお話を考えて下さい。






起きなきゃいけないのに体が言うことを聞かない。
瞼は開けても下がろうとする。
「寝てていいぞ」
「誰のせいですか…もう節操なさすぎです…」
「仕方ねえだろ、可愛かったんだから」
ああもうこの人は…。
「いいから休め」
ゆったり瞼に乗せられた掌に自然と意識が遠ざかる。
優しい笑顔を見た気がした。

*






優しく両の指に触れるのは千鶴の唇と柔らかな肌。
さして広くない風呂の中。
密着する千鶴に欲情せずにいられねえ。
唇に触れる指を態とらしくなぞれば風呂のせいだけじゃねえ熱い吐息かかかる。
「ひ…じ、かた…さん」
「なんだ」
「なんだ…じゃ、な……」
頤を引き寄せて唇を奪う。
「煽ったのはおまえだ」

*お題は『「優しく、指先に触れる」キーワードは「お風呂」』






外でデートすることが出来ない私達は先生の家でデートしていた。
何回目だろう先生の家に行った時見慣れないマグカップが二つ。しかもお揃いの。
「先生これ…」
「千鶴のが必要だろ?」
先生の目元が少し赤いのは気のせいではない筈。
お揃いを二人並んで持つなんて夢のようでほんわか心が温かくなった。

*『お揃いのカップで飲み物を飲む』『土千』






「なぁキスしてもいいか?」
頤を捕まえて問えば千鶴は途端に顔を真っ赤にした。
何か言おうと開いた口が何も言えずに彷徨う。
「どっちだ?」
「わ…わかってて聞いてませんか?」
恨めしげに睨まれても可愛いだけだ。
「千鶴の口から聞きてえんだよ」
吐息がかかるほどの距離で色付く唇が答を教えてくれた。

*『「キス、してもいい?」と訊く』『土千』






「結構伸びたな」
リボンを解けばさらりと黒髪が広がる。
「そうですね」
千鶴が幸せそうに笑う。
ここで二人暮らした時間がそうさせている。
一房を手に取りそっと口付ければ意図がわかったのか千鶴は仄かに色を散らす。
幸せを分け合うように唇を重ねた時千鶴の瞳に同じように幸せそうな顔をする俺が映った。

*オススメのキス題。シチュ:いつもの場所、表情:「幸せそうな表情」、ポイント:「髪に触れる(or触れられる)」、「お互いに同意の上でのキス」






「千鶴はよく俺から目を反らすよな。なんでだ?」
おでこをこつんと合わせて千鶴がこれ以上逃げられないようにする。
既に顔は赤く、どうしていいものか目が泳ぐようにさ迷っていた。
「そんなこと言われましても…」
「俺の顔見るのが嫌か?」
「違います!」
栗色の瞳が俺を捕える。
「やっと見てくれたな」

*『おでこをこつんとする』『土千』(多分)






額に触れて離れた柔らかい感触に自然と目が覚めた。
「っ!」
すぐに目が合った千鶴が恥ずかしげに頬を染めた。
「おおおはようございます…!」
いつもより上擦った声がより千鶴を可愛く見せた。
「起きてる時に唇にしてもらいてえな」
抱き寄せて耳に直接ねだれば、千鶴は更に頬を染めて可愛い口付けをくれた。

*『額にキス』を土千がすると萌え。『恥ずかしげに』だと更に萌えです。






何故肝試しすることになったかわからない。
しかも策略なのか偶然なのか私は土方先生とペアになった。
誰もいない真っ暗な校舎はやっぱり不気味で。
すると先生の手がそっと両手に触れた。
「誰にも咎められねえからな」
ぎゅっと握られる。
今だけは気兼ねなく先生といられるんだ。
それはなんだか嬉しかった。

*お題は『「そっと、両手のひらに触れる」キーワードは「肝試し」』(SSL)






「…っ…!」
激痛が走る。魘される様な悪夢を見た。
どちらが先か。もしかすれば同時だったかも知れねえ。
荒い息を押し殺せばいたわるように握られた優しい温もりは千鶴だ。
不安そうに泣きそうになりながら必死に笑顔を浮かべていた。
不思議と落ち着いていく。傍にいますからという声が子守唄に聞こえた。

*お題は「いたわるように」「手を握る」。キーワードは「不思議」






千鶴からシトラスの香水の香りがした気がした。俺からの移り香だ。
噛むように何度も啄ばめばその柔らかさに酔う。
熟れたような真っ赤な唇は半月よりも綺麗で甘美なものと俺を誘う。
上気して赤い頬も涙で潤んだ瞳も鼻から抜ける甘い吐息も千鶴という存在も。
「歳三さん…」
擦れた声に千鶴を掻き抱いた。
*お題は『シトラスの香水・真っ赤な唇は半月よりも綺麗に・下唇の柔らかさ』






私自身も予測できなかった。
桜を見に行こうと足が向いたのは初めての場所で、こんなにも強く愛する人と出逢い、幸せな日々を送るだなんて。
桜並木が綺麗なその場所で、舞う桜の花びらがよく似合う一人のカメラマンがいたのだ。
「俺は土方歳三だ」
覚えてる始まりの日。
今思えば運命だったのかもしれない。

*お題は『予測』『一人』『桜並木』(現パロ、土方さんがカメラマン)






『おめでとうございます、妊娠4ヶ月ですよ』
病院のロビーで会計が終わるのを待っていた。
千鶴は土方に寄り添い、土方はそんな千鶴を包むように抱き寄せている。
そっと千鶴がお腹に手をやれば、土方もそっと千鶴の両手に重ねるように触れた。
優しい笑顔で二人見詰め合って二人の手にある命を共に抱いた。

*お題は『「そっと、両手に触れる」キーワードは「病院」』(現パロというかSSL卒業後)





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