移動教室だと廊下を急いでいたら土方先生とすれ違った。
「移動教室か?」
「はい」
「頑張れよ」
先生と生徒がよくする会話。先生はもう歩き出す。
わかっていてもちょっと寂しい。
と、指が触れ少しの間だけ絡んだ。
先生の目は私を見てないけど、私にだけわかるように囁いてくれた。
早く学校終わらないかな

**お題は『「目を逸らしつつ、指に触れる」キーワードは「廊下」』(SSL)






あまりの近さに緊張して心臓がバクバク言ってて寝れないんじゃないかと思った。
「おはよう、千鶴」
目が覚めて間近で見た優しい先生の顔に一瞬時が止まってしまった。
「よく寝れたようだな」
すぐに状況がわかった私はあっという間に顔が熱くなる。
「おまえの寝顔可愛かったぞ」
唇に柔らかいものが触れた。

*『ベッドで「おはよう」と言っている』『土千』(SSL)






それが外国人流の女性に対する挨拶だと大鳥さんが言っていたが。
俺以外の男が触るということにどうも腹の虫が治まらない。
「千鶴、ちょっと来い」
部屋に戻るなり千鶴の手を取って外国人と同じ手の甲にキスをした。
「土方さん?」
「気に入らなかったんだよ」
「もしかして…」
「うるせえそれ以上言うな」

*『体のどこかにキス』を土千がすると萌え。『拗ねたように』だと更に萌えです(函館)






外でのデートは初めてで先生は自然な仕種で私の手を取る。
「え?」
「あー…いやだったか?」
「あのえとっそうではなくて!」
ぎくしゃくしながら手を握れば力強く返される。
「嬉しいというか恥ずかしいというか幸せというか…」
繋がれた手から伝わる大好きな人の体温がこんなに愛しいとは思わなかった。

*お題は「ぎくしゃくとしながら」「手を握る」。キーワードは「体温」(SSL)






天国よりも地獄よりもあなたに辿りつきたいと
力の限り叫んだ想いは届かないのかと泣いたこともあった。
でも想いは通じ、私をからかう時に見せる
意地の悪い笑顔でもたまらない愛しさを感じる位。
「なんだ行っちまうのか」
「朝餉の準備が…!」
夫婦としてあなたと暮らせる日々が幸せでたまらないのです。

*お題は『力の限り叫んだ思い・天国より地獄より君に辿り着きたい・意地の悪い 笑顔でも愛しい』






今日は日曜日。
お休みだった先生は急に呼び出されて学校に行ってしまった。
私はお留守番。
涙腺が緩くなってしまったのか泣く積もりなんてなかったのに。
「おかしいなぁ」
「悪かった」
聞こえた声と涙を拭う温もりに驚いた。
「お仕事は…」
「おまえが泣いてる気がしてな」
伸ばされる腕の中に抱き着いた。

*お題は『留守』『日曜日』『涙腺』(SSL)






千鶴を送った後急に部屋が寂しく思えた。
一人ベランダで煙草をくわえ吐き出す煙にため息が混じる。
千鶴の温もりが恋しいなどすっかり溺れている。
携帯を取り出し千鶴にかければすぐに千鶴の声がした。
「先生どうしました?」
さっきまで逢っていたというのに
「千鶴の声が聞きたくなってな」
「私もです」

*お題は『ぬくもり』『一人』『タバコ』(SSL)






学校の桜並木に一人の女子生徒の後ろ姿があった。
それはずっと探していた愛しい女だと魂が教える。
「千鶴…」
零れるように出た名前に千鶴が振り向いた。
大きな瞳が見開かれ涙が溜まる。
「千鶴!」
激しく肩を抱き寄せるとぎゅうっと回る細い腕。
「ずっと逢いたかったです」
「俺もだ」
やっと再会出来た。

*お題は「激しく」「肩を抱き寄せる」。キーワードは「再会」(転生SSL)






ポンと乗せられた武骨な、けれど逞しく頼もしい手が胸の奥を切なく苦しんだこともあった。
あなたの傍にずっといられたら、と。
今はその確かな重みと優しさにすぅっと満たされていくの。
「千鶴」
見上げれば柔らかくて慈愛に満ちた愛情溢れる土方さんの表情と出逢う。
「幸せです」と笑えば抱き寄せられた。

*






今日は結婚記念日。
連れてこられたホテルの浴室はガラス張りでとても恥ずかしい。
更に歳三さんに湯舟の中でしっかり抱きしめられているからどうしていいかわからない。
「星が見えるぞ」
歳三さんが指差す先を見れば一番星見えた。
「こうして見るのも不思議な感じだな」
「はい」
「千鶴の方が綺麗だがな」

*夜の浴室」で登場人物が「抱きしめる」、「星」という単語を使ったお話(SSL卒業後設定現パロ)






「泣くな、千鶴」
さらさらと灰に姿を変える夫はいつもより悲しそうな、いつもと変わらず優しい笑顔をしていた。
消える前にと離れないでと僅かに輪郭が残る両手にぎこちなく伸ばし掌を握り締める。
「生まれ変わって時が流れても俺は必ず千鶴を迎えに行く。約束だ――…」
目元を温もりが触れた気がした。

*お題は『「ぎこちなく、手のひらを握り締める」キーワードは「約束」』






初めて繋がれた手の大きさと温もりに
ひどく驚いて同時にあっという間に心が幸せで満たされていく。
ただ好きな人と手を繋いだだけというのに、
どうしてこんなにドキドキと鼓動が早くなるんだろう?
「ほら、行くぞ」
「…はい」
繋いだ手に力がこもって土方さんは歩き出す。
貴方の隣。繋いだ手が嬉しかった

*『手を繋いで照れくさそうにする』『土千』






俺がちゃんと言ってやらなかったのが悪かったのか。
教師と生徒だ。
だからってこいつをこんな風に傷つけて泣かせていい筈がない。
「私はそんなに強くありません!」
背を向けて千鶴が飛び出そうとした
その手を掴んで引き寄せて気持ちが伝わるようキスをする。
「悪かった」
震えたその手が袖口を掴んだ。

*『キスで仲直りする』『土千』






「今日はなんだか冷えますね」
朝晩が冷え込む季節だが今日の晩は特に気温が低かった。
千鶴は肌寒そうにしながら少しだけ俺の方へと体を寄せた。
「これでも羽織っとけ」
「ありがとうございます」
手近にあった俺の羽織りをかけてやりそのまま抱き寄せた。
「暖かいです」
千鶴がふわりと嬉しそうに笑った。

*『寒そうにしている相手に上着を掛けてあげる』『土千』






なんとなく目覚めた夜中、腕の中で無邪気な寝顔をする千鶴を見て妙に安心する。
ぐっと抱き寄せて顔にかかる髪を払って、額にそっ唇を寄せる。
小さく身じろぎした千鶴が瞼を震わせて目を開いた。
「歳三さん?どうかしましたか?」
「いや、おまえがいると落ち着くなと思っただけだ」
千鶴がふわりと笑った

*『おでこにキスをしている』『土千』





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